福岡大学工学部建築学科教授 須貝 高 氏
アドバイザー
九州すまいづくり研究会主宰。各地で普及・啓蒙活動を行っている健康住宅研究の第一人者。各種雑誌・新聞ほか、テレビ番組に出演するなど、幅広く活動中。
現代住宅は気密性・断熱性に優れています。しかしその一方で床下をみますと湿気も多く建築材も湿気に侵されている場合も多いのです。床下には大事な基礎等がありますがそれが腐っているケースもありますので十分注意が必要です。
床下の湿気が畳や床にあがってきて、ダニやカビが発生します。ダニの糞を吸うと抵抗力のない赤ちゃんやお年寄りには大きな負荷になります。
また、湿気を含んだ木材というのは耐震性も弱まります。水分を多く含むと木材が柔らかくなりちょっとしたショックで大きく変形するのです。
建物は乾燥した木材をうまく使うことで強度は十分強くなります。
私どもは阪神大震災を現地で調査したのですが、水回りの部分の湿気ていてそこが崩れているケースが非常に多かった。土台についてもシロアリによる食害によって崩れてきている。これらの事例を考えても、床下の湿気を取り除き、外の乾燥した空気を床下にも取り入れることが大事であることがわかります。
床下には床下換気口というものがついていますが、思っているほど床下の空気は移動しません。当然そこに湿気もたまってきます。
そういった意味では床下に強制的な換気を設け、湿気のある空気をうまく外に排出させ、新鮮な空気を他の換気口から取り入れる。床下全体くまなく通風されると床下は非常に強度が上がっていきます。
床下を調査すると水回り部分の湿度が非常に高くなっています。そのポイントを強制的に換気させることは特に大事です。
また、シロアリは動く空気を嫌いますので空気を活発に動かすことも大事です。
世界をみましても、これだけ雨が降って湿気が多いのは日本だけです。また地震がこんなに多いのも日本だけです。昔の日本人は高温多湿の気候に対していろいろな工夫をしてきました。着物も体全体に空気が通るように考えられていますし、建築では神社仏閣などの高床式で床下の風通しは十分考慮されていたのです。そう考えると、建物を支える床下の風通しを良好にさせ、乾燥した床下にすることは耐震対策にもつながるとても大切なことであることがわかります。
基礎の一。
壁下などに用いられる、細長く連続した基礎。
建築物の最下階全体にわたって板状に設けられた基礎。
マット基礎。
基礎と土台の間にすき間を開けて床下の換気を促す部材を基礎パッキンと呼び、それを用いる手法を基礎パッキング工法という。
従来のように基礎に換気口を設ける代わりに用いられる方法。
ネコ土台。
木材の細胞壁を構成するセルロ-ス、ヘミセルロ-ス、リグニンなどを菌体外酵素で分解して利用する仲間は木材腐朽菌と呼ばれ、栽培キノコの大部分はこのグル-プに属します。
木材腐朽菌は、家屋の強度を弱め、住まいの寿命を縮めます。
・シロアリ目の昆虫の総称。
・アリに似るが白色で、胸部と腹部の間にくびれがなく、不完全変態をする。
・女王・王・働きアリ・兵アリから成る大きな社会を作る。
・木材・建築物・地中などに営巣し、建物や立ち木に大害を与える。
・オオシロアリ・ヤマトシロアリなど。
・気密性が高く、一年中温度差の少ない現在の住宅はダニの温床です。
・ダニは、気管支喘息、アトピー性皮膚炎などアレルギー症状の原因になります。
・ダニの大きさは1mm以下で、肉眼で発見することは困難です。
・温度、湿度、エサ(フケ・アカ・カビ)などの条件が揃うと一気に繁殖します。
・温度や湿度の条件によっては大量発生することもある。
・虫によっては刺したり噛みついたりする。また、毒をもっていることもある。
・侵入するだけでなく、屋内に巣をつくる場合もある。
新築やリフォームした住宅に入居した人の、目がチカチカする、喉が痛い、めまいや吐き気、頭痛がするなどの「シックハウス症候群」が問題になっています。
その原因の一部は、建材や家具、日用品などから発散するホルムアルデヒドやVOC(トルエン、キシレンその他)などの揮発性の有機化合物と考えられています。
日照りや風通しの悪い古い木造家屋の朽ちた木や畳などに繁殖する、トリコスポロンという真菌(カビ)を吸い込むことにより発症。
日本国内における過敏性肺炎の過半数を占め、梅雨以降の高温多湿の季節に集中。
アトピー体質の人にいろいろな刺激が加わって生じる慢性皮膚炎。一種のアレルギー反応と考えられる。
年齢によって現れる症状が異なり、乳児では顔面・頭部が赤くただれて湿性となり、成人では主に関節屈側に丘疹が集まり、乾燥している。
一般にかゆみが強い。
しばしば喘息(ぜんそく)・鼻炎・花粉症などを伴う。